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熱帯魚水槽の照明

熱帯魚を飼育において意外と軽視されがちなライトですが、照明の光には、大きな役割があります。

熱帯魚に対する光の役割

熱帯魚とひとくちに言っても、種類によってはナマズなどのように、底床に棲み、夜行性で、ほとんど光を必要としない魚もいますが、昼行性の熱帯魚にとって色彩と光には深い関わりがあります。昼行性の魚は明るい環境で育てた方が体色が艶やかになります。昼行性の熱帯魚を光に当てないで飼育すると、急速に色彩が劣化していきます。もともと熱帯・亜熱帯の川や湖で、さんさんと降り注ぐ太陽光を浴びながら、育っていた魚たちです。

ディスカスなどの昼行性の魚に関しては、太陽の光を当てて育てたときと、蛍光灯の光だけで育てたときとでは、その体色にはびっくりするほどの差があると言います。屋外の池で、太陽光を浴びながら、ひと夏を過ごさせたベタの体色は、今まで見たこともないような強烈な輝きを放っているのに、びっくりしたという人もいます。逆にフィルターの中などに入り込んでしまって真っ暗な中で暮らしていた魚を救い出した時には、体色が真っ白になっていたりします。魚にとって、光は重要な役割を持ちます。

水草に対する光の役割

水草は、魚の吐きだす二酸化炭素を吸って、酸素を吐き出します。また、その際に、水槽内の不要の窒素を栄養として取り込むことにより、水質をろ過してくれる働きをしています。しかし、このように水草が光合成によって生長していくためには、二酸化炭素に合わせて、光を必要とします。水草が必要とする光の明るさは、水草の種類によっても異なります。

ロタラグリーンやグロッソスティグマなど、陽性水草といわれる水草は、多くの光量を必要としますが、陰性水草と呼ばれる、アヌビアスやミクロソリウムの仲間は、強い光は必要としません。逆にボルヴィティスなど、光量が強いと育ちにくく水草もあります。

照明の点灯時間が長過ぎたり、飼育水の中に栄養となる硝酸が多過ぎると、コケの大繁殖を起こす原因になります。光を必要とするものは水草ばかりではなく、コケもまた光を必要とします。コケも水草と同じ植物ですので、水草が育つ環境であればコケは必ず現れてきます。

コケも水草と同じように、水中の栄養素を吸収し、光を取り入れ生長していきます。ですので、少し魚を入れ過ぎたりすると、魚の糞や餌の残りなどの増え、それにより発生した窒素化合物(硝酸塩)などの量も殖えていきます。

植物は、ろ過バクテリアとともに、それらを栄養分として吸収していきます。しかし、植物が吸収してもなお栄養分を余りようになると、コケも繁殖して行きます。特に窒素やリンを吸収する水草の数が少なかったりすると、繁殖のスピードの速いコケはすぐに殖えていきます。水のろ過のない環境で、強い光を照れば、すぐにコケは殖えていきますので、注意する必要があります。

照明時間

日に当たることは、昼行性の魚にとってはいいことです。しかし、川や池など地面に囲まれた場所とは異なり、小さな水槽の場合は、日光は水温を急に上げてしまう可能性があります。ですので、室内の水槽で飼う場合は、直射日光を避け、時間を決めて照明を当ててやるようにします。

植えている水草によっては、照明を置く場所や照らす角度も非常に大事です。陽性植物のロタラは、光の方向へと伸びますから、斜めから照らすと、その方向へ曲がって伸びていきます。できるだけ水槽の隅々まで、まんべんなく光が届くようにします。照明時間は1日8~10時間が理想です。

照明の種類

照明は、基本的には 2灯式(20W×2)か、1灯式を2つが適当です。蛍光灯以外の照明には、メタルハイランドランプやLEDなどもあります。一般に熱帯魚水槽には、蛍光色(デスク向き)の蛍光灯を用い、家庭用の自然色(食卓向き)の蛍光灯はほとんど使われることはありません。しかし、キューブ型のインテリア水槽などでは、故意にこの暖かみのあるオレンジ色っぽい光の蛍光管を使うこともあります。

LEDは、長寿命で耐久性に優れ、低消費電力で省エネ製品の旗印にもなっています。LED照明の光源は、熱放射が少ないので、夏場の室温やクーラーの冷却にも影響を与えることがないのも利点です。

LEDの光は、水槽の雰囲気をかもし出すのに合っているという意見もありますが、難点の1つに暗いことがあります。LEDは、光を周囲にまき散らさず、スポット的に真下だけを照らすことも、薄暗い印象を受けることの理由になっています。もう1つの難点は、価格が高いことが挙げられます。現在のところ、確かに価格的には高価ですが、省エネの問題以上に、蛍光灯やHIDランプと違って水銀が使われていないことは、環境問題に絡んで大きなメリットになっています。そうしたことから、現在ピッチに開発が進んでいます。今後性能的にも、コスト的にも優れた機種が期待できるかもしれません。

水銀灯、メタルハライド灯は、いずれもHIDランプの1種です。基本原理は蛍光ランプと同じで、電極から放出される電子が対極へ引かれる途中に、水銀原子が光を放出するしくみになっています。低圧放電の蛍光ランプは紫外線が多いのに比べて、HIDランプは点灯中の水銀原子の密度と温度が圧倒的に高いので、その明るさに特徴があります。

野球場の照明を思い浮かべてもらえれば、明るさは想像できるかと思います。透過性が高く、水槽の底まで照らすことができます。離れていても水槽の底まで光が届くため、距離を離して、水槽真上から吊り下げて放射することが可能ですので、水槽上部の空間を空けることができるようになります。

照明に邪魔されることなく、水槽を上から眺めることも可能になります。デメリットとしては、発光管が高温になる必要があるため、スイッチを入れてから安定した点灯が行われるまで時間が4 ~ 8分かかることがあります。また、いったん消灯してしまうと、再点灯まで数分おかなければならなかったりする場合もあります。

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