熱帯魚は、熱帯・亜熱帯の地方に生息する魚です。よってアマゾンや東南アジアなどと同じ環境を水槽内に作ってあげなければなりません。熱帯地方に住む水生生物の多くが寒さに弱く、なんらかの方法で水温を上げてあげなければなりません。
水槽飼育に慣れた養殖魚によっては、水温などの環境適応能力に優れた種類もありますが、わざわざ過酷な環境にすることは避けて、きちんと温めてあげるようにしましょう。ヒーターは水温を上げるためのもので、水中で熱を発生させ、非常に簡単に水温を上げることができます。日本では、冬場に水温を一定に保つために使用することになります。
水槽の大きさとヒーター選びの目安
ヒーターの能力は、ワット(W)数で表されます。水槽の水量に合わせて、適切なワット数のものを選択します。各製品には、適合水槽(水量)が示されているので、それを参考にします。機密性の高い最新の住環境では、ワンランク低いワット数のものでも問題ないことも多いです。水槽サイズに適合する参考ワット数は、おおよそ次のようなものです。メーカーが示す適合水槽と照らし合わせて、ワット数の合ったヒーターを選ぶようにします。
水槽サイズ | 水容量 (ℓ㍑) | ヒーターの大きさ (W㍗) |
30cm水槽 | 10~20ℓ | 50W |
45cm水槽 | 25~40 ℓ | 100W |
60cm水槽 | 55 ~65 ℓ | 200W |
90cm水槽 | 150 ℓ | 400W |
※室温が5℃の部屋での設定
たとえば200ワットのヒーターを考えた場合、200ワットのヒーターを1本繋げる方法もありますが、100ワットのヒーターを2本繋げる方法もあります。水槽に2本ヒーターを入れると見映えはだいぶ悪くなりますが、万が一片方のヒーターが機能しなくなった場合の最悪の弊害を緩和できることになります。
熱帯魚用ヒーターの使用上の注意
不注意による火災事故~空気中で通電しない
ヒーターを使う上で気を付けなくてはならないのは、必ずヒーターが水中にある事を確認してからコンセントを差し込むことです。水の外でヒーターを稼働させるのはとても危険です。水換えの際に、長時間ヒーターが空気中に出てしまい、異常加熱を起こして周囲の可燃物に接して発火するなどの事故も起こっています。
空気中では、絶対にヒーターに通電しないようにします。水換えの際、センサーやヒーターが空気中に露出する可能性があるので、必ず電源を抜いてから行うようにします。
また、バケツや浅い容器など、水槽以外の容器で使用しないことも大切です。
大型魚がヒーターをかじる~カバーを付ける
ヒーター使用時に大型魚が暴れて、ヒーターが水槽などにぶつかって破損してしまう場合があります。また、大型魚がヒーターをかじって、火傷をしてしまった例も多々あります。
このような事故を防ぐためには、大型魚やヒーターを齧ってしまいそうな魚、物に張り付く習性のある魚などを飼う場合には、ヒーターにカバーを付けるようにしましょう。カバーについては、各メーカーともそれぞれのヒーターごとに専用のものを作っていますので、ヒーターと同じメーカーで、同じワット数用のものを選ぶようにします。
ヒーターやセンサーを噛み砕いたりして破壊してしまうような大型魚の飼育では、水槽の角に通水性のある囲いを作り、そこに設置する方法もあります。
ヒーターの寿命と取り扱い
夏場の取り扱い
ヒーターやサーモスタットを使用した温度調整は、冷たい水を暖めるためのものですので、温度設定をしても冷やすことはできません。よって水槽の温度が気温と同じくらいになる夏場には、ヒーターを水槽から出し、ゴムの部分などの破損を確認して、保管しておきましょう。
ヒーターの寿命~毎年買い換える覚悟
ヒーターの寿命は大体1~2年です。メーカーでは1年を目安に開発をしているようです。ですので、ヒーターに関しては、高いものを購入するよりも、信頼できるメーカーのヒーターの中から、手頃な価格のものを選んで、定期的に買い換えていくようにします。冬場ヒーターが故障していたのに気付かず、知らぬ間に水温が低下していて、熱帯魚が弱っていたなんてことがないように、早めな交換が賢明と言えます。