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熱帯魚の基本知識

熱帯魚とは

熱帯魚とは、熱帯・亜熱帯地域に生息し、鑑賞目的に飼育する魚を指します。また、それらの魚を鑑賞目的で飼育する行為を指して、熱帯魚と言うこともあります。観賞用に飼育されるものであることから、色や形が鮮やかなものが多くあります。一般的には淡水魚のことを指すことが多いようです。

そもそもが熱帯地域の魚類の飼育であることから、温帯である日本では屋外で飼育することは稀で、ほとんどが屋内での水槽内での飼育となっています。

海水魚を除いた淡水魚だけでも、世界中の熱帯・亜熱帯地方に数多くの熱帯魚が分布しています。主な地域としては、南米、熱帯・亜熱帯アジア、東西アフリカ、そして、オーストラリアやニューギニアが挙げられます。他の地域にはない特性を持った熱帯魚が、各地域で生息しています。

熱帯魚は、こうしたいわゆるワイルドと言われる現地採取の野生種のほかに、古い時代から養殖も盛んに行われています。熱帯魚ショップなどで売られている熱帯魚は、圧倒的に東南アジアで養殖が行われたものが多く、そうした養殖個体は安価で取引きされる場合が多くなっています。

一方において養殖は、ヨーロッパでも行われていて、ドイツやオランダのブリード種は体型もしっかりしていて、美しさにも定評があります。ミクロファーガス・ラミレジィが、ドイツラムの名前を語って販売されているものについても、実際は、東南アジアから持ち込まれているケースが多いようです。価格的にも手を出しやすい価格になっています。

日本でもグッピーをはじめ、養殖の行われている魚もあります。国内産の養殖魚は、東南アジアからの輸入品よりも比較的高価ですが、系統的にきちんと管理されたものになっています。日本の水道水にも慣れているので、丈夫で、飼いやすくなっています。

熱帯魚の魅力

熱帯魚にはたくさんの魅力あります。

癒しを感じる異次元の世界

ゆらゆらと静かに揺れる水草。その茂みを通り抜ける色鮮やかな魚たち。虹色に輝く魚のウロコ。ロングフィンの魚のひらひらと揺れる尾ヒレ。淡いブルーの照明に照らされた、非日常的な水の中の空間。・・・・・水槽の中の幻想世界は、わたしたちの日常の喧騒も、仕事の疲れもすべて忘れさせてくれ、大きな癒しを感じてしまいます。

目の前の水槽を泳いでいる魚は、ついこの間までアマゾンの川を泳いでいた魚かと思うと、なお一層不思議な気持ちに駆り立てられたりします。遠いアマゾンを思い浮かべると同時に、人間の一方的な都合で連れて来られた魚たちなのだから、大事に育てなければと、なお一層決意を固めたりもします。

水槽に小さな社会を眺める

コミニュティ水槽におけるテリトリー意識からのいじめ、メスに自分をアピールするときのオスの美しさ、オスの求愛行動とメスのやり取りのおもしろさ、いじめられていた大人しい魚が、相手を他の水槽に移した途端に、急に我が物顔になったり・・・・と、小さな社会のしくみを、時にはユーモラスに、時には切実に見る思いがすることもあります。

自然のしくみを知る

最近は美容院やリクライゼーションのショップなどでも、癒しをもたらすインテリアの1つとして、水槽を置くところも多くなりました。ろ過されたきれいな水の中で、カラフルな熱帯魚が泳いている水槽は、本当に見事なくらい美しく、長く見取れてしまいます。自分の家でもこんな水槽を置けたらと、少なからず願ってしまいます。

しかし、美しい水槽を維持するには、工夫や手間、時間がかかります。魚は酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出します。水草は魚たちが吐き出した二酸化炭素と照明による光によって、光合成を行い生長して行きますが、吸った二酸化炭素の代わりに酸素を吐き出します。こうして吐き出された酸素を魚たちが吸って生きて行きます。

また、魚の糞や残り餌は、猛毒のアンモニアに変わります。このアンモニアは、亜硝酸菌のバクテリアに因って、毒性のある亜硝酸に変えられます。この亜硝酸もさらにバクテリアに因って、毒性の低い硝酸塩に変えられます。つまり水中に育っていたバクテリアがアンモニアや亜硝酸を無毒化してくれることになります。

しかし、硝酸塩も沢山溜まってくると、pH低下や、硝酸塩の持つ窒素分がコケ藻類の大発生をもたらします。また、硝酸塩は、酸素がないところでは、再び毒性の亜硝酸に戻ってしまいます。しかし、このとき水草が、この硝酸塩から、苔の栄養分にもなる窒素を栄養ととして取り込みます。水の浄化が図られることになります。

このように自然のしくみは、すばらしい循環を保っていることになります。

奥行きの深い水槽の世界

水が汚いと、魚は病気になったり、種類によっては生きていけない魚もいます。水を浄化させるには、主役としてバクテリア、そして水草が必要になります。バクテリアはろ過した水を置いておくだけで自然に発生していきます。そして水草は、熱帯魚が吐き出す二酸化炭素だけでは、生長するための光合成を行うのには足りない場合もあります。足りなければ二酸化炭素を足してやらなければ、水草は育たなくなります。

アンモニアや亜硝酸を硝酸塩にするバクテリアが充分育っていないと水の浄化は足りなくなくなりますから、ろ過はもちろん、水換えも必要になってきます。基本的にはどんな優れた外部フィルターを使っても、水換えは必要です。水槽内の環境をを維持するには、基本的に手間も時間もかかります。

しかし、水槽の中に濾過バクテリアの生態系を作り出すことによって、水を換える必要もほとんどないばかりか、フィルターを使わずに水を状態良ち、熱帯魚を飼育できるようになることもあります。これはいわゆるバランスドアクアリウムと言われるものです。

バランスアクアリウムでは、水換えの必要がほとんどなくなることにより、環境変化による魚のストレスや病気の発生、突然死なども大きく減らすことができます。特に水の流れを苦手とするベタなどの種類の魚にとっては、フィルターによる水流のない環境は最適になります。

また、卵や仔魚が流されてしまったり、あるいはフィルターに吸い込まれてしまったりといったこともありませんから、繁殖には、とても有利です。しかもさまざまな微生物のいるバランスドアクアリウムは、ブラインシュリンプの幼生を食べることのできないほど小さな稚魚の餌にも困らないことになります。

まさに自然のしくみを利用して、水槽の中に濾過バクテリアの生態系を作り出し、さらに窒素を水草に吸収してもらうという自然さながらの絶妙な調和の上にのみ成り立つ飼育です。バランスアクアリウムは、水替えや掃除をほとんど必要としないパーマネントセットアップです。

いったんバランスドアクアリウムが成り立つと、手間をかけることなく、長い間熱帯魚を飼育できる環境を保つことができるようになります。バランスアクアリウムに成功すれば、さほど手間をかけることのなく、魚にとっても快適で、なおかつ美しい水槽を維持することができるようになるのです。

実現は容易なことではありませんが、もしこれを実現できれば、飼育者にとっても生きものにとっても、それはまさに理想的な飼育になります。特に飼育に高度な技術を要する生き物を飼育する場合は、こうしたバランスアクアリウムについての理解は、きっと大きな助けになります。水槽の世界は、追究していくと、実に奥行きの深いものがあります。

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