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熱帯魚の繁殖準備

【1】産卵までの準備

繁殖が難しいとされる種類の魚でも、実は産卵までは、比較的に容易に成功させられる場合が実に多いとされています。そうは言っても、やはり準備すべきポイントがあります。

雌雄を見分ける

ドワーフシクリッドなどは、ペアで販売されている場合も多く、その場合は特に購入してから雌雄を見分ける必要のない場合もあります(しかし、ドワーフシクリッドは、雌雄で体色や体長がかなり異なりますので、自ずから判って来ます)。

そうでない場合、特に隔離してやる場合などは、雌雄を見分ける必要があります。購入時に稚魚である場合は、成魚にならないと、判別は難しいことが多いのですが、成魚になると、簡単に見分けられる種類も多くあります。

水槽内をよく観察していると、接触している理由も、オス同士の喧嘩なのか、メスにちょっかいを出しているのかも、判るようになってきます。

混泳水槽で、雌雄を隔離する場合も、繁殖を成功させるためには、メス・オス1匹ずつで隔離した方がいい場合もありますし、メス1匹について、複数のオスを入れた方がいい場合もあります。雌雄で相性が悪い場合は、メスの相手を変える、あるいはオスの相手をするメスを変えるなど、テクニックが要る場合もあります。

水質を整える

ろ過の効いた安定した水質を作ってやるようにします。普段水質に対し神経質な種類の魚は、産卵する場合、なお神経質になる場合もあります。pHについては多くの種類は、それほど神経質にならなくても、産卵する場合は産卵します。しかし、魚の種類によっては、pH が違うと、産卵しないことがあります。カルキ抜きした水道水に、産卵する熱帯魚に合わせたpHに調整するようにします。

たとえばネオンテトラなどは、水槽内の親魚は、普段ほとんど中性に近い透明な飼育水で生活していても、産卵ということになると、本来自分が育ったアマゾンの枯れ草や流木などで茶色に濁った弱酸性の水のほうが、産卵しやすい傾向にあるようです。水温については、熱帯魚の種類によって違いがありますが、普段より1~2℃高めで、27~30℃くらいが適当だと言われています。

産卵筒、産卵屈など、産床作り

魚によっては、泳いでいて、水草にポロポロと水草の上に零すように産卵する種類もあります。また、雌雄で岩陰に隠れる姿を見かけるようになったかと思うと、大きく穴の空いた岩の裏に産み付ける種類もいます。その種類に合わせた産床を作ってあげる必要があります。ウィローモスなどの水草は産卵床にもなりますし、産まれた稚魚などの隠れ家として使用されます。

市販されている産卵筒、産卵屈は、直接産卵する場所にもなりますし、産卵する親魚や稚魚のシェルターにもなります。カクレ土管、隠れ家壺、ロックシェルター、かまくらシェルター、植木鉢シェルター、ヤシの実シェルター・・・など、レンガや岩や陶器などを用いたさまざまなものが、産卵筒、産卵屈、シェルターなどの名前で市販されていますので、産卵する魚の種類や大きさに合わせて、揃えてあげるといいでしょう。

繁殖に必要になる小物を揃える

産んだ卵は、他の魚や親魚食べられてしまいます。ですので、繁殖させたいと思ったら、卵は隔離してやる必要があります。こんなとき、プラスチックケースのような産卵箱を用意しておくと、一定期間卵や稚魚を隔離するのに非常に便利です。産卵箱は、メインの飼育水槽に吸盤で固定して使用する水中固定式、メイン水槽に浮かせて使うフロートボックス、メイン水槽横に別に掛けて使用する外掛け式のサテライト(エアーポンプ付き)など、さかざまなものが出ています。

透明のプラスチックボックスがメインですが、水中式ものには、やわらかい布を用いたネットタイプのものもあります。熱帯魚を産卵箱に入れる際は、水槽ケースを沈めて、網で魚を追い込むようにすると安全に捕まえられます。魚をキズ付けると、そこから細菌が入ることで、病気に罹りやすくなったりします。水槽から移すために魚を捕まえる際は、くれぐれも魚をキズ付けないように気を付けて行うようにしましょう。

また、水槽を輪切りにしたような形で、仕切りしてやることにより、繁殖させようとしている魚(あるいは産んだ卵)と、そうでない魚を分けてやる方法もあります。こうした仕切り板は、30㎝、45㎝、60㎝規格水槽あたりなら、サイズに合ったものを見つけることができます。仕切り板は、産卵際他の魚から守るためのほか、殖え過ぎた種類のメスをオスを別々にするのに、用いることにも使われます。また、混泳がうまくいかなくなった魚の隔離にも用いることもできます。

これに対し、水槽をはじめから分けて繁殖は、産卵前に、繁殖させる同種の雌雄(メス1匹に複数のオスなど)を別の水槽に移し換えて隔離することで場合もあります。こうした産卵箱とは別に、初めからオス・メスの個体を、プラスティック製の小型水槽に分けて、分けて繁殖させる方法もあります。こうした水槽には薬浴用にも使えますし、また、混泳に合わない魚を隔離するにも使えますから、1つ置いておくと便利です。

卵をカビから守る

卵は抵抗力がまったくないため、すぐに水カビが生えてしまいます。カビが生えると当然、孵化はしませんし、水質を悪化させるばかりか、飼育魚の病気の原因にもなります。カビた卵は、早急に取り除かないと周りに広がり危険ですから、見つけ次第、ピンセットなどで取り除くようにします。

薬剤を入れる方法がありますが、薬を入れてもカビる運命にある卵はカビるとの話もあります。卵がカビるのを防ぐためには、メチレンブルーの使用が有効とされています。

水カビは、他の卵にも連鎖発生したりもするので、用いざるを得ないかもしれませんが、その場合も、メチレンブルー(メチレンブルーのみで、殺菌剤や抗菌剤は含まれていない薬、)のみにし、薄めで使用するようにします。

【2】孵化させ稚魚を育てる間ための準備

繁殖は、産卵よりも、稚魚を育てることにポイントがあります。基本的に孵化した稚魚も、飼育水槽に放てば、卵同様、飼育している他の魚に食べられてしまいます。ある程度の大きさに育つまでは、隔離して飼育してやるのが基本です。せっかく産卵には成功したのですから、準備すべきことは準備し、それぞれのポイントをしっかりと押さえて、繁殖を成功させていけるようにしましょう。

スポンジフィルター

生まれたばかりの稚魚は小さく、上部フィルターの吸水口に稚魚が吸い込まれてしまっていても、気が付かない場合が多くあります。繁殖が難しいとされる種類には、こうしたことも理由の1つになっています。上部式でも外掛け、外部式でも、繁殖期には、フィルターの吸水口への一工夫が必要です。(一般的に繁殖には、底面式フィルターが適しています。)

対策としては、フィルターの吸水口にスポンジフィルターをはめるなどして、稚魚が吸い込まれないようにします。スポンジフィルターの代わりに、ストッキングなどでカバーをしてもいいでしょう。

スポイト

スポイトは用意しておきましょう。スポイトは卵を吸い取るのにも使いますし、稚魚に餌を与えるのにも使います。スポイトで吸い取ったふ化させたブラインシュリンプ幼生などは、スポイトで数滴ずつ稚魚のいる水槽に落として、与えるようにします。

ベビーフードを用意しておく

孵化する頃までには、稚魚に与える餌の準備をしておきます。ふ化したばかりの稚魚は、数日間は体内に蓄えられた栄養で生きています。3~4日でエサを与える必要があります。稚魚にエサを与える時は、上手に与えないと、栄養不足で死んでしまいます。また、この時期の餌は、将来の成長にも影響して来ますので、十分に与えるようにします。1日に2~3回はエサを与えるようにします。

生まれたての稚魚が小さく、ブラインシュリンプは、大き過ぎてまだ食べられない場合もあります。こうした場合、ブラインシュリンプの幼生やインフゾリア(動物性プランクトン)を与えてやるようにします。ブラインシュリンプとは正式名称はアルテミアサリーナと言い、アメリカのソルトレイク湖(塩湖)に棲むプランクトンの1種です。別名「シーモンキー」とも呼ばれます。乾季と雨季がはっきりしているソルトレイク産のブラインシュリンプの卵は、乾季に乾燥しても何年か放置していても、雨季に雨が降ったのと同じ条件が揃うことによって、孵化します。

使いたいときに孵化できるので、便利な生き餌と言えます。日本では乾燥卵の状態で販売されていて、孵化させて使用します。ブラインエッグは、海水に入れると、水温28℃でおよそ24時間後に孵化します。孵化したブラインシュリンプは光に集まる習性があるので、光を当てて集めておいて、スポイトなどで吸い取ります(孵化した後の卵の殻は、水面に浮いていますが、食べられないので捨てます)。稚魚の餌として、水槽に入れたブラインシュリンプの幼生は、淡水では長いこと生きていけないんで、放置しているうちに死にます。

ブラインシュリンプの幼生は死んで時間が経つと、水質を汚すことになりますので、吸い取って捨てるか、あるいは、活きていて新鮮なうちに冷凍保存しておいて、冷凍ブラインシュリンプの幼生として、別の機会に稚魚に与えるようにします。このように稚魚には、生まれたてのブラインシュリンプの幼生もしくは冷凍しておいたブラインシュリンプの幼生を食べさせるのがベストと言えます。

また、インフゾリア(動物性プランクトン)は、水槽の水を小さな容器に入れ、キャベツやレタスなどをちぎって入れておいて作ります。すると水面が白く濁りますが、この白い部分がインフゾリアで、やはりスポイトで吸い取って稚魚に与えるようにします。この他にも、人工飼料をすりつぶして粉状にして、稚魚に与える方法もありますが、稚魚は水面に浮いている餌を自分から食べには寄って来ませんので、すりつぶした餌は、突付いたりして、沈めて与えるようにします。

水中に残った餌は、水を悪化させますので、こまめに吸い出して処分するようにします。

なお、グッピーなどの卵胎生魚の稚魚は、母親のお腹の中で、育てられてから生まれて来ますので、産まれて直ぐに、親と同じエサを食べることができます。その日のうちに、イトミミズやブラインシュプリングを与えるようにします。

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