アピストグラマ・アガシジィ・レッドテール
学名
アピストグラマ・アガシジィ(学名:Apistogramma agassizii)
外見
アピストグラマ・アガシジィ・レッドテールは、その名の通り、尾ヒレに入った赤が美しい個体です。
ドワーフ・シクリッドの中でももっとも種類が多いものに、アピストグラマがあります。その中でもよく知られているものに、このアピストグラマ・アガシジィがあります。
分布
アマゾン川本流上流~中流域(ダバジョス川河口付近)に生息し、河川による地域変異により、さまざな色彩バリエーションが存在し、人気の高い仲間です。
体長
メスの方がサイズが大きい卵胎生メダカなどとは正反対で、シクリッドの仲間はオスの方がサイズは大きくなっています。アピストグラマ・アガシジィの成魚のオスは8~9㎝ほどありますが、メスは5~6㎝ほどです。メスは、体表の色も茶褐色を帯び、体表の柄や艶はオスのように美しくありません。また背ビレや腹ビレについても、オスに比べてほとんど目立ちません。
アピストグラマに共通して言えることですが、オスは、体を大きく強く見せるために、ヒレを大きく広げり、フィンスプレッディングを行います。フィンスプレッディングは、他のオスを威嚇したり、メスに対する求愛のために行います。成長したオスのフィンスプレディングは見事です。
アピストグラマ・アガシジィについても、フィンスプレッディングを行うようになった頃のオスは、体色が乗って大変美しく、このことが飼育する際の大きな魅力の1つにもなります。
飼育
アピストグラマの仲間は亜硝酸濃度の増加に弱く、水質の悪化などにより、松かさ病やポップアイ症(眼球周辺に水溶物が溜まり、眼球が出目金のように飛び出したようになる)などに罹りやすくなります。アピストグラマの飼育は、けっして難しいものではありませんが、定期的な換水に、充分に濾過の効いた水槽で、飼育してあげるようにするといいでしょう。
餌については、アピストグラマに共通して言えることですが、冷凍赤虫やブラインシュリンプなどを好み、あまり人工飼料には懐かないところがあります。しかし、顆粒タイプの人工飼料についても、根気良く与え続けることにより、やがて慣れて口にするようになります。
ブラインシュリンプや赤系の色上げ飼料を与えることで、体色も、鮮やかな発色を見せるようになります。各種人工飼料は、冷凍赤虫やブラインシュリンプなどと並行して与えていくようにします。
繁殖
メスはいつもはオスに追いかけられていますが、やがてオスの求愛に応えるようになります。アピストグラマは、ケーブスポウナーと言って、岩や流木や裏に卵を産み付ける洞窟産卵型の種類なので、シェルターとなる流木や土管などを入れておくと、その中で産卵します。適切なものがないと、水槽のガラス面に産卵することもあります。産卵が近付いたメスは腹部を膨らませ、体中をまっ黄色に染めます。
産卵後、オスはメスの周りで外敵の侵入に備えるようになりますが、メスが卵や稚魚を守る意識が大変強く、オスに対しても卵や稚魚に近付くことを許さず、メスが自分よりも何倍も大きなオスを追い払い、激しいときはオスを突付き殺してしまうこともあります。
メスがこのように卵や稚魚に近づく魚を追い払う姿は、混泳魚に対しても見られることがあります。
オスがメスに向けてフィンスプレッディングを行ったり、外敵の侵入に備えた見張り番のオスも、メスによって卵や稚魚に近づくことを許されなかったり、産卵前はメスを追いかけていたオスが、産卵後は卵を保護するメスに追いかけられたり、卵や稚魚を守るメスの強さと言い、雌雄におけるこのように発達した繁殖行動の面白さゆえ、アピストグラマは、魅力一杯の魚になっています。
繁殖を考える場合は、産地に合わせた水質で飼育するのが好ましいと言えます。弱酸性のろ過の効いた飼育水で管理すれば、繁殖も十分楽しむことができるようになります。