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海水魚の汽水魚や淡水魚との違い

淡水魚と海水魚

淡水魚は、河川や湖など淡水に住む魚を言い、海水魚は、一生を海水に住む魚を言います。別に汽水魚と言い、海水・淡水の入り混じった河口付近に生息する汽水魚もいますが、通例汽水魚は、図鑑では淡水魚類図鑑に掲載されています。熱帯魚として扱われている汽水魚は、淡水魚として扱われていることが多くあります。ですので、淡水魚と言う時は、淡水でも生息できる魚、一時期でも淡水に入り込む魚も含む場合があります。

現在、世界中の淡水魚・海水魚を合わせると約25,000~30,000種類と言われています。約60%が海で生活し、残り40%が汽水・淡水で生活していると言われています。

浸透圧と海水魚・淡水魚の環境

ナメクジ退治に塩を掛けると小さくなっていくのは、浸透圧によって、ナメクジよりも塩の濃度が高いために、細胞膜の外に振りかけられた塩分を薄めようと、ナメクジの体内(細胞膜内)の水分が、塩に吸収されて出てしまうことにより起こる現象です。水分は、半透膜を透過して、塩分濃度の高いほうに吸水されてしまうように出来ています。塩分は、半透膜を透過して、これを薄めようと水分を吸収しようとします。これらの働きは浸透圧によるものです。

淡水魚も海水魚も皮膚の細胞膜は半透膜でできていて、浸透圧は、このように体内の塩分を薄めたり、体外に水分を逃して体内の塩分を維持しようとして働きます。こうした浸透圧の問題は、まわりを液体に囲まれた状態で生きている魚にとっては死活問題になります。

海水魚はまわりを体液よりも塩分濃度の高い海水に囲まれて生きています。海水の塩分濃度は約3.3~3.5%と言われています。これに対し淡水は、塩分濃度は0~0.3%で、淡水魚は、体液と違って、ほとんど塩を含まない淡水の中で生きています。水分を通す薄い半透明の膜で覆われたものがあって、その外部と内部で塩分濃度が異なる場合、水は濃度を同じにする方向へ動いて行きます。すなわち膜の外の方が濃度が濃い場合は、水分は濃度の濃いものの方に引っ張られていきます。これが海水魚の環境です。、海水魚は、常に廻りの海水に、水分を奪われる危機の中にいます。

逆に膜の内部の濃度の方が薄い場合は、外部と同じ濃度に近付くように、内部に濃度の濃い水が取り込まれる方向に動きます。これが淡水魚の環境で、淡水魚は水膨れになる危機に晒されていることになります。

海水魚・淡水魚ともに体液中の塩分濃度は0.9%と同じ

体液に比較した塩分濃度の環境ということで言えば、真逆の環境下にあるにもかかわらず、淡水魚も海水魚も皮膚は半透膜でできていて、両方とも体液中の塩分濃度は、0.9%と同じほどです。

淡水魚と海水魚は、体内の塩分濃度の調節システムが異なっている

淡水魚と海水魚では何が違うかと言えば、それは体内の塩分濃度の調節システムが違っているのです。海水魚はたくさんの海水を飲み水分補給をしながら、体内から塩分を排出する器官(エラ)を持っています。淡水魚は、体内の塩分を薄め過ぎないように少量の水を取り入れ、塩分濃度を維持できるように、塩分を含まない水分を大量に排出しています。淡水魚の器官は、体内から塩分が逃げないようにできています。

海水魚の塩分を排出するシステム、淡水魚は塩分を逃がさないようにするシステムは、どちらの器官もそれぞれ一方通行にしか働かないようになっています。だから、海水魚は塩分を排出する器官しか持っていないので、海水魚にとって体液よりも薄い淡水が体に入って来ると、体液の塩分濃度をどんどん薄めてしまうことになり、致命的になります。

逆に淡水魚にとっては、塩分を出せないようになっているので、体液よりも濃い海水が体の中に入って来ると、致命的になってしまいます。

海水魚の塩分排出システムと、淡水魚の塩分維持システム

浸透圧は、浸透圧の低いものから高いものへ水分を吸収するように働きます。海水魚の場合は、海水魚の血液の浸透圧は海水の浸透圧より低いので、何もしなくても体内の水分はエラや体の表面からどんどん出ていってしまいます。このままでは体液が濃くなってしまうため、たくさんの海水を飲み、尿として排出する水分もできるだけ減らすために腎臓で多くの水分を再吸収します。そしてたくさんの海水から過剰に取り込んでしまった塩類は、別にエラから排出します。

海水魚は、体液と同じくらいの塩分濃度の尿をごく少量排出します。

一方、淡水魚の場合、淡水魚の血液の浸透圧は、周囲の淡水より高いために、体内にどんどん水が入ってきます。このままでは体液が薄くなってしまうため、腎臓での水の再吸収をおさえて塩類の再吸収を増やし、塩分濃度が体液の10分の1程度薄い尿を多量に排出して、体内の濃さを維持しようとします。塩類は食べ物、もしくはエラによって、周囲の水から自力で取り込みます。水を飲むことはありません。

このように基本的に、淡水魚と海水魚は同じ水槽の中では生きられません。

しかし、最近淡水魚と海水魚の両方を飼育できる特殊な水として「好適環境水」が岡山理科大学専門学校の山本俊政・アクアリウム学科長らの手によって開発されるようになりました。
淡水をベースに、海水に含まれる60種の元素中から、カリウムやナトリウム、微量の電解質などが加えることで、海水魚が生息できる環境を作ったものとされています。好適環境水は、内陸部の養殖場で海水魚の養殖を可能にしたほか、一部の水族館でも利用されています。

海水魚の飼育と、殺菌灯について

殺菌灯(さっきんとう)は、殺菌力を持つ波長域の光線(紫外線)を照射する照明を言います。布団などを太陽の光にかざしておくと日光消毒でバイ菌が死ぬと言われています。これは太陽光線に含まれている紫外線によって殺しているのです。
日光消毒と同じように水槽の中のバイ菌を紫外線で殺すようにした装置です。紫外線殺菌灯は、筒に水を流し込み、筒の真ん中にガラス管を通し、そこで紫外線を出し、筒を通った水に紫外線を当てるという構造になっています。

殺菌灯は、一般に淡水魚飼育ではあまり使用されていません。その理由は、淡水ではろ過バクテリアがしっかり繁殖した状態がベストになり、殺菌灯は、有害バクテリアを減少させる反面、ろ過バクテリアも減少させてしまうからです。

海水は淡水に比べて、雑菌が少なく、その分、海水魚は淡水魚よりも雑菌に弱いと言えます。特に熱帯地方の海は、近海の海に比べて雑菌が少ないので、その分熱帯地方の海水魚は、雑菌に慣れていないことになります。同じ海水魚で比べれば、近海の海は、雑菌が多い分、近海の魚は雑菌に慣れていて、丈夫ですが、熱帯地方の海水魚は、デリケートと言えます。このことにより、海水に棲む熱帯魚には、紫外線殺菌灯を使用することが多くなっています。

また海水魚の水槽の場合は、淡水に比べて水替え作業に手間がかかることから、水替えの頻度が少なくなるのも、殺菌灯を使用する理由の1つになっているようです。淡水魚の水槽では、生物ろ過バクテリアを利用したほうがいい結果が得られるようです。

淡水魚の水槽についても、コケ対策に利用できないかの点については、殺菌灯のある筒に、水と一緒に流れ込んできたコケは殺すことができますが、既にガラス面や岩などに付着してしまったコケについては、流れ込んで来ることがありませんので、減らすことはできません。白点病予防の効果については、魚から離れて水中を浮遊する菌は、殺菌ランプのある筒の中に、水と一緒に流れ込んで来ることによって滅菌できますが、魚に張り付いている菌や魚の体内にいる菌については滅菌できません。いったん発生してしまったコケや病気の菌に対しては、効果は望めないようですが、こと予防という点では、淡水での飼育についてもコケを発生しくくさせたり、白点病に罹りにくくするなどの効果はあるようです。

ただし、殺菌灯は価格が高く、フィルターをもう1台増やせるような値段ですので、費用対効果の点で、淡水の水草水槽で使用されるケースは少ないと言えます。

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