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病気の予防

熱帯魚水槽における病気の発生原因は飼育者の管理能力に大きく影響を受けます。

熱帯魚の病気を治療する際には、根本の対策をおこなわなければなりません。一時的に薬による対処法をおこなっても、病気の発生原因を取り除かない限り、再発は大いに考えられます。熱帯魚が病気に罹らないように、日常的に病気の予防を行う必要があります。

熱帯魚が発病した際は、治療とともに環境改善の検討を必ず行うようにします。この努力が熱帯魚を長生きさせる秘訣です。

【1】ストレスを避ける

病気の原因の多くは、ストレスにあります。熱帯魚飼育を成功させるには、熱帯魚がストレスを感じる環境を知るべきです。特に病気の予防の大きなものに、ストレスの軽減と、水質をその熱帯魚の環境に合ったものに近付けてやることがあります。

●水温に注意する

熱帯魚飼育で、まず大事なことに水温があります。普通に考えると、水槽の水をすべて新しい水に換えたほうが気持ちがいいように感じますが、それは人間の感覚で、急激な水温変化には、熱帯魚はとてもショックを受けます。

熱帯魚は温度変化には弱く、飼育環境と水温が異なるとストレスになります。そもそも熱帯魚は、熱帯・亜熱帯に棲む魚です。飼育環境よりも水温が低いと、魚はじいっと固まってしまうことがあります。

また、いくら熱帯地方に棲んでいたからと言っても、地面に囲まれた河の水が32℃以上になることはありません。水温が高いと、水中に溶ける酸素が不足し、口をパクパクさせたりするようになります。

少しずつ水槽の水に慣れしてやり、その熱帯魚がどういう水温環境で育ったかを考えて、そこに近付けてやることが大事ですが、水換えの度に、大きく水温が異なるのは、大きなストレスになります。

特に季節の変わり目などには、水温が不安定になり、その結果病気を引き起こすこともあります

●水質が異なることによるショックを与えない

最適な環境を保つとは水質の悪化を防ぐことですが、水質の悪化を防ぐために行った水換えも、方法を間違えると、逆に熱帯魚の体調を悪くしてしまうこともあります。水温もそうですが、水質も生体によって適性値があります。

落ち葉や腐敗物の多い水質環境で育った魚と、石灰岩などの鉱物の多い環境で育った魚とでは、pHや硬度が異なります。pHが極端に違っていると、実際水槽へ移した時にペーハー ショックという怖い状態を引き起こしてしまい、熱帯魚が 全滅してしまう恐れがあります。

また淡水、汽水、海水とでは浸透圧が異なります。このようにpH、硬度、浸透圧の急変もストレスになります。水槽内で発生する病気は、水換え時の急激な水質変化によるストレスが原因である場合があります。

水質を維持させるのは、熱帯魚飼育でもっとも大変なことになるかもしれませんが、飼育を成功するか否かに関わってきます、定期的 なチェックを怠わらないようにしましょう。

●騒音や振動が激しい環境は避ける

熱帯魚は振動や騒音に非常に敏感ですので、部屋の出入り口などの人の足音が響く場所や、トアの開け閉めのあるところは、できるだけ避けるようにします。家具の上に置いて、家具を開け閉めしたり、引き出しを引き出ししたりするのも同じです。

熱帯魚が振動に驚いて、水槽内で暴れて、水槽のガラスや流木などに体をぶつけて傷ついてしまうことがあります。特に過剰な振動は、熱帯魚を怯えさせ、ストレスになり、病気にも罹りやすくなります。

熱帯魚の中には、ピラニアなど、臆病で神経質な種類もあります。長生きさせたいと思ったら、警戒心を解き、落ち着ける環境を作ってあげることが大切です。

●コミニュティタンクの中において強者や、相性の悪い相手を避ける

年中強い魚に追われていたり、餌を横取りされてしまうような環境下では、ストレスが大きく、長生きできません。魚同士の力関係は強いストレスになります。また、ゆったりとしか泳がない魚にとって、狩猟的な素早い動きを見せる魚や、上下左右前後、落ち着きなき常に動き回っているような魚と一緒でも、ストレスになる場合があります。

そういう意味では混泳についてはよく相手を考えてあげる必要があります

●群泳の習性のある魚は複数匹にして飼う

群泳の習性のある魚を、他種はいても、同種の仲間のいない環境で飼うと、環境に慣れず、長らく食事をしなかったりする場合があります。群泳の習性のある魚は、同種を複数匹入れて上げる方が、魚はストレスを溜めないようになります。

●光の反射を避ける

熱帯地方の魚は、昼の日差しに慣れた魚ですので、水温が上昇しない限り、昼間は明るい方綺麗な色は出ると言えます。しかし、水槽の両面が反射し合うと、魚は落ち着かず、ストレスになる場合もあります。ペンシルフィッシュは、光に向かって泳ぐ習性がありますが、水槽の両面とも眩しいと、ペンシルフィッシュが明るい背面ガラスに衝突してしまうこともあります。

ピラニアなどのカラアシンの仲間は、警戒心の強い魚が多く、導入直後の数日間は水槽を暗くして、新しい水槽に慣らさないと拒食などで調子を落とす危険性があります。

背面をバックスクリーンや布で覆ってやるなどの工夫が必要です。

●隠れ場所を作ってあげる

逃げ場のない狭い水槽で虐められるのは相当辛いと言えます。そのためには、水草や岩場などの隠れ家のある環境を作ってやるようにします。水草や岩場は、生息していた自然環境に近付けてやることの他にも、このようなシェルターを作ってあげることにも意味があります。ハチェットフィッシュのように跳ぶ習性もなければ、水面を泳いでいる魚でもないのに、水槽から跳び出しているのが発見されたりするのは、

恐怖や強いストレスの極みで、ジャンプして水槽から逃げ出そうとしたからに他なりません。同種間でも縄張り争いや、メスを巡ってオスが張り合うことはあるのですが、特にコニュニティタンクの場合は、必ずシェルターとなる場所を作ってあげることが大切です。

【2】フィジカル的な要因における予防

●カルキ抜きの手を抜かない

水道水には消毒のための塩素が含まれています。塩素は人間にとっては非常に微量なためまったく問題がありませんが、熱帯魚は直接エラから体内に塩素を散り入れてしまうことになります。また、熱帯魚は人間よりも塩素に対する抵抗力が低くく、体調を崩す原因に繋がります。

そこで、塩素を中和することが必要になります。バケツに汲み、1日置いておけば、カルキ抜きはできますが、水道水をすぐに使う場合は、水換えの度に、テトラ社の「コントラコロライン」などを使い、必ずカルキ抜きしてやらなければなりません。

●外傷を作らない

網ですくう際などには、外傷を作らないようにします。何にしろ、キズ付けることはよくありません。キズそのものよりも、キズから二次感染を招くことが多くあります。

●アンモニアや亜硝酸濃度を高くしない

水質が悪化した環境では、魚は、餌の食べ残しや熱帯魚の排泄物によって発生する猛毒なアンモニアや亜硝酸がたくさん発生しています。水換えやエアーレーションなどにより、それらの窒素化合物などを分解してくれるろ過バクテリアを繁殖を殖やしてやるようにします。水換えは定期的に行い、その際、ろ過バクテリアを流さないよう、いっぺんに全部換えずに、3分の1ぐらいずつ換えるようにします。

水質を悪化させないためには、餌は残りが出ないように与えてやること、餌の残りは、すくい取ってやること、熱帯魚の個体数を詰め込み過ぎないことなどが大事です。

●病気の熱帯魚を水槽の中に持ち込まない

熱帯魚が病気になる原因の1つとして、病気の熱帯魚を水槽の中に持ち込むことがあります。新しく入れた熱帯魚が病原菌を持ち込むこともあります。そのために今まで元気だった熱帯魚が全滅するなんてこともあります。

熱帯魚ショップの店員さんは飼育のプロですが、過信し過ぎても、管理の悪い熱帯魚を購入してしまったら取り返しがつきません。必ず自分の目でしっかり確認をし、元気な熱帯魚を選ぶように気を付けましょう。

病気の魚は早めに別の水槽に移し、様子を看るようにします。

●水槽に新たに入れるものは、きれいに洗い流してから入れる

新しく入れた水草に、病原菌がくっ付いて来ることがあります。水草を買ってきたら、必ず水洗いしてから水槽に入れるようにします。

●薬品などを触った手での餌やりを避ける

人間にとってはわずかな量の薬品でも、体の小さい熱帯魚にとっては、大きな影響を与えてしまう場合もあります。薬品などを触った手で水槽内の掃除やエサやりなどもしないようにしましょう。

特にヤマトヌマエビは、水槽内での魚用の薬にも弱いほか、室内でのバルサンなどの殺虫剤の使用などにも注意が必要です。

●病気の生き餌は与えない

生き餌が病気や寄生虫を持ち込むこともあります。発病すると治療が厄介な病気も多くあります。特に大型熱帯魚に小さな魚を与える場合は、注意が必要です。生き餌水槽で1週間ぐらい様子を見て、おかしな死に方をしているものは取り除いて、餌として与えないなど、していく必要があります。

●餌の与え過ぎを止める

餌の与え過ぎは、魚をメタボにします。熱帯魚は餌を与え過ぎないほうが、長生きすると言われています。また、エサの与え過ぎは、水質が悪化過ぎることで、熱帯魚が病気に罹りやすくします。水質を悪化させないためには、餌は残らないように与え、残った餌は早いうちに、すくい取るようにします。

●栄養を偏らせない

生き餌などを与える場合も、まったく同じものしか与えらないと栄養の偏りが見られるようになってしまいます。各種ビタミンの添加された人工飼料なども、餌として、間に入れることにより、栄養の補正ができるようになります。

●薬の使用によるバクテリアの減少に注意する

ほとんどの熱帯魚用薬品は強い殺菌作用を持っています。 つまり病原体や寄生虫を殺すと同時に濾過バクテリアも殺してしまうようになります。規定量の投薬を行った場合、生物ろ過が崩壊し、アンモニアの分解が行われず、生体は薬と、アンモニアなどの猛毒に晒されてしまいます。 こういう場合には、水換えの頻繁にすることが大切です。

薬物投与は、薬の水換えで薄まった分だけまた投薬し、均等な薬物濃度で治療を続けるようにします。なお、薬物投与の際は、活性炭を使用している場合は、取り除いて行わないと、活性炭の穴は非常に小さいので、薬物まで活性炭が吸着してしまうことになります。

●水槽の置いてある部屋での殺虫剤使用は避ける

夏場などに蚊やハエなどがいるとつい殺虫剤をまいてしまいますが、殺虫剤は直接水槽にかからなくても、エアーポンプが殺虫剤を吸い込み、水中へ送り込んでしまいます。人間にとっては害のない殺虫剤でも熱帯魚にはかなりの悪影響になります

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