自然の繁殖

自然に繁殖させる  

繁殖の手順には、親魚に卵や稚魚を食べられてしまわないよう、卵を取り出して育てる人工繁殖と、できるだけ自然に任せる自然繁殖があります。

ある日突然、水草の影から顔を覗かせた稚魚の姿を見つけたとき、その瞬間の驚きや喜びには、言葉にならないほどの感動があります。

自然繁殖の場合は、基本は自然に任せておくことになります。自然環境下では、稚魚は自然発生した植物性のプランクトンや動物性のプランクトンを食べて成長します。ですが、この成長時期に栄養価の高い餌を与えてやると、後々丈夫でしっかりした個体に育つようになります。ですので、スポイトを使って、ブラインシュリンプを与えてやるようにするといいでしょう。産卵を控えたメスにも、ブラインシュリンプは有効です。

シクリッドなど、熱帯魚の中には、卵を産みっ放しにしたり、片端から食卵してしまうことはせずに、自分たちで子育てする種類の魚もいます。そういう魚の場合、産卵床だけ用意してやれば、自然繁殖させることも可能です。

放っておいても繁殖に成功できる場合もありますが、いくら自然繁殖させると言っても、コミュニティタンクとは別に、繁殖させる雌雄のための水槽を作ってあげるべきでしょう。

さらに雌雄の相性や、繁殖の過程を見ながら、メスを出してやったり、メスと卵だけにしてやったり、オスをコミュニティ水槽に戻してやった方がいい場合もあります。
カップリングの様子や、産卵後の雌雄の様子を観察しながら、判断して行きます。

アピストグラマの繁殖

●シクリッドの繁殖行動

アピストグラマは、ドワーフ・シクリッドの仲間です。

成熟したアピストグラマのオスは、メスに自分をアピールして、ヒレを大きく広げ、体を大きく強く見せるフィンスプレッディングを行うようになります。このようなフィンスプレッディングはメスに対する求愛だけではなく、競争相手であるオスを威嚇するためにも用いられます。

アピストグラマは、メスに比べて、オスの方が体もはるかに大きく、背ビレや腹ビレ、体表の柄や艶も、オスの方がはるかに美しくなっています。雌雄の区別はすぐに着きます。特にフィンスプレッディングを行うオスの姿は、体がつやつやと輝き、見事としか言い様がありません。

発情したオスはメスを追い掛け回し、メスは年中逃げ回っています。

カップリングに成功する場合は、最初のうちは逃げ回っていたメスも、やがて、逃げま回ることもほとんどなくなり、メスの方からオスに近寄るようになっていきます。メスは岩や流木などの陰に入って行き、それを追うようにオスも岩陰や流木の陰に姿を消します。

アピストグラマは、よくペアで販売されているのを見かけますが、人間の場合と同様で雌雄の間には相性があり、すぐにカップリングが成り立つとは限りません。カップリングを成功させたい場合は、オス1匹に対して、メスを何匹か水槽に入れてやると、カップリングに成功しやすくなります。

カップリングが成立したものだけを残し、あとは、別の水槽に移してやるようにします。

●産卵~孵化まで

メスは、繁殖の準備が整い、産卵が近くなると、体色を黄色に変化させます。この時期のメスには、ブラインシュリンプを与えると、繁殖しやすくなります。

アピストグラマは、ケーブスポウナーと言って、岩や流木や裏に卵を産み付ける種類なので、中に出這入りできるドーム型の産卵窟を用意して、水槽に沈めて置いておくようにします。流木や素焼きの土管などを入れておくと、流木の根元の穴や、土管の裏側に卵を産み付けます。

産卵洞は、必ずも筒状のものである必要はなく、トワーフ・シクリッド用に素焼きの植木鉢シェルターなども市販されています。植木鉢を逆さにしたような形で水槽の底に置きます。素焼きの2号程度のサイズの植木鉢を沈めてやってもいいでしょう。
すると、そこに卵を産みつけます。

産みつけられた卵が受精していれば、3日程度で孵化しますが、この時期のメスにストレスを与えると、卵を食べてしまうこともあります。繁殖を成功させたいのならば、水槽の中のものを触ったり、年中覗き込んだり、強い刺激を与えたりすることは避けたいところです。

混泳水槽内でペアができ、混泳水槽内で無事産卵しても、その先無事孵化し、稚魚が育たないことには、繁殖を成功させることはできません。繁殖は産卵させることよりも、産卵後から先の過程の方が難しいと言えます。

●マウスブルーディングによる子育て

アピストグラマは、オスとメスとの間で役割分担があるようで、産卵後は、メスが卵の産卵床から離れずに外敵から守り、オスは遠巻きにメスを援護するようになります。

孵化し立ての稚魚は、自由にはまだ泳げないので、その場にじっとしています。アピストグラマは、マウスブルーディングの習性があり、流された子どもを口の中に入れて、元に戻したりして、仔魚を口の中に含んだり、出したりしながら育てます。

ほとんどの場合、メスは卵にべったりで、オスが卵に近付こうとすると追い払う場面も見られ、オスは次第に水槽の端の方へと追いやられて行きます。卵に近付きたくても、メスの迫力に圧倒され、モジモジとしていて近付けないオスの姿を発見することもあります。

孵化から4~5日すると、稚魚は泳ぐことが出来るようになり、補食活動を開始します。チョコチョコと泳げるようになった子どもを、メスが引き連れて、泳いでいる姿も見られるようになります。

この時与える餌は、その後の成長に大きく影響します。ブラインシュリンプが最適と言えますが、水でよく洗い流し、塩分を抜いたブラインシュリンプを与えるようにします。

2週間もすると、まだ5㎜ほどの稚魚ですが、の泳ぐスピードもかなり速くなります。母親のまわりからあまり離れようとしなかった稚魚たちもブラインシュリンプを追いかけて右へ左へ、上へ下へ、好き勝手に動き回るようになります。

孵化後1ヶ月以内の稚魚はとても弱く、水換えもエアーチューブ等を使用して、ゆっくり少しずつ行うようにします。1ヶ月ほどで1㎝ほ どの大きさになります。この頃には、ブラインシュリンプに加えてスクランブル状の人工飼料も与えるようにします。順調に育てば、2カ月~2カ月半1.5~2㎝になります。親魚と同居させる必要はなくなりますので、繁殖用の水槽からは出してやります。

早ければ3~4カ月ほどで、親魚に比べて小ぶりでも、繁殖可能な成魚になります。

●発達した繁殖行動ゆえの魅力

アピストグラマは、雌雄の相性や、個体差によって、とても激しい争いを起こすことがあります。

小さな水槽でオスとメスの守備範囲が重なることにより、喧嘩が多くなると、どちらかがボロボロになるのが見られるようになります。

発情した気の荒いオスは、イヤがるメスを追い掛け廻し、メスのヒレを裂けるくらい攻撃することもあります。

産卵後は、逆に卵や稚魚に対するテリトリー意識から、メスが強くなり、オスが卵や稚魚に近付くことを許さず、メスは自分よりも体の大きなオスを追い回し、激しいときはオスを突付き殺してしまうことすらあります。

あまりにもオスとメスの争い方が激しい場合は、魚の命に関わることになりますので、オスを別の水槽に移すなどの対策が必要になります。

そうかと思うと、オスも子育てに参加するような場面も見られます。一般にアピストグラマのオスは、子育てには参加しないとも言われていますが、夫婦で交替でマウスブルーディングしながら子育てし、群れからはぐれそうになる仔魚を、オス(父魚)が口の中に含んで、群れに戻す姿が見られたりもします。

雌雄における、このような発達した繁殖行動の面白さは、飼育する者を魅了してやまないトワーフ・シクリッドの魅力と言えます。

プッシープレコの繁殖

●プレコ用のシェルター兼産卵筒

プレコはナマズの仲間ですが、プレコは、種類によって、繁殖が容易とされる種類と、水槽内での繁殖例は聞かないとされるくらい、非常に難しいとされている種類もあります。

そんなプレコの中で、ブッシープレコは、繁殖の入門魚ともなる種類です。

自然繁殖ということですが、最低限シェルター用の土管は置いてあげる必要があります。プレコは、物陰に潜む性質が強いため、普段から流木とともに、飼育個体の数以上の陶器の土管などを用意してやるようにします。陶器製の土管は、仲間同士の争いを避けることにもなり、置いてやることで、プレコ自体が大変落ち着きます。土管はまた、産卵筒(産卵床)としても用いられることになります。

●雌雄の見分け方

一般的にプレコは、オスの方が一回り大きく、メスは小さく、繁殖が近付く頃になると、腹部がふっくらとして来ます。水槽の上から見ると、メスはお腹が出ているのが分かります。

エラに棘を持つ種類については、オスの成魚は棘を持ちますので、棘で見分けることになります。インペリアルゼブラや、一部のぺコルティア系の場合、微弱ですが、オスはエラに棘を持ちます。

しかし、そうした身体の大きさや形状、エラの棘などで見分けるのも、慣れないとなかなか難しいようです。

そうしたプレコの中でも、ブッシープレコは、すぐに雌雄を見分けることができます。プッシープレコは顔にひげのはえた種類で、オスは、見るからにヒゲが多く生えているので、これに対しメスは少ないので、違いはすぐに判ります。

●オスによる子育て

オスは、7cmクラスになると、シェルターに入り、雄雌問わず他のプレコに、サイドから威嚇して、産卵筒を守り始めます。

メスは6cmくらいから身体全体、卵を腹に持ち始めるせいか、腰の辺りに丸みを感じるようになります。

メスはテリトリーを持ったオスに近付き、シェルターの入り口付近でオスの機嫌を伺って待機します。メスはそれに誘われるかたちで、シェルターの奥に半ば強引に入り込む姿が見られるようになります。

メスの腰の辺りのふっくら感がなくなり、少し痩せたような体型になっていて、オスが身体を半身にして入り口付近をガードするようにしていれば、シェルターの奥に10個程度卵は生まれている可能性があります。

オスは受精させた後もその場に残り、卵を守ります。

卵は 直径2ミリ位の薄透明感のある黄クリーム色で、ブドウのように一塊になっています。透明感のない乳白色のものは、無精卵と考えていいと思われます。 産卵後1~2日とすると、卵の真ん中に脊髄と思われる赤いラインが入り、その2日後には孵化します。孵化直後、卵にそのまま頭と尻尾が生えたような格好をしています。孵化後2~3日すると、幼生らしい形になって来ます。

稚魚の餌にはブラインシュリンプなどを与えるようにします。稚魚はお腹が空になったらすぐにで死んでしまいますので、常に餌のある状態に置くようにします。

稚魚に親魚に与える餌と同じものを細かく砕いたものや、ブラインシュリンプなどを与えて行くと、1カ月ほどで親魚の形に成長します。

孵化後3~4ヶ月もすると3cmほどになると、餌も親と同じ物を与えても大丈夫です。ふ化後から稚魚の独り立ちまで、稚魚の面倒を看ているオスの姿も見られます。

産まれたばかりの卵や稚魚は、他の魚に食べられてしまうことも多いので、産卵箱などに移してやることが理想ですが、筒の中から稚魚を取り出すのは、結構難しい作業になります。卵はカビやすく、カビた卵があると他の卵もカビてしまいまいますので、早めにピンセットで取り除くようにします。また、狭いサテライトに大量に稚魚を詰め込み過ぎると、ストレスや喧嘩で死んでしまうこともあります。

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